ホンダのこと

ボクが知ってるホンダは、
1970年代後半にGPに復帰した頃から。

と言っても、
ボクはオジサンだけど、
本で読んだだけで実際には観てない。

その頃のホンダは、
じつに挑戦的なメーカーだったと思う。

なぜなら
2ストロークエンジン主流の時代に、
敢えて4ストロークエンジンで
GPに参戦したからだ。

『4ストのホンダの名に賭けて!』
(当時は❝4ストのホンダ❞と云われていた雰囲気)

しかし、同じ排気量(500㏄)で
4ストが2ストに適うはずは無い。

エンジン(内部の話)を1回爆発させるために
2ストロークエンジンは2つの工程が必要で、
4ストロークエンジンは4つの工程が必要なのです。

つまり、単純な計算で(難しい計算は分からない)
2ストは4ストの2倍のパワーがあるというわけ。

そこで当時のホンダの入交さんはUFOを見て考えた。
ピストンを楕円にしたら(なぜUFOで楕円かは謎)
バルブがたくさん乗るんじゃねぇ?

バルブは燃料と空気の混合気を
エンジンに送り込む重要な役割を担っています。

で、
できたのがあの有名な楕円ピストン。

ピストンといえば丸い形が一般的。
でも、丸だとバルブが乗るスペースは
限られている。

丸いピストンの形を伸ばして楕円にすれば、
もっといっぱいバルブが乗るわけです。
もっといっぱい混合気を送り込めるわけです。

通常のエンジンのバルブの
2倍のバルブが搭載されれば、
単純に2倍のパワーが得られるわけ。

で、
完成したのがNR500ですね。

しかしながら、
天才フレディー・スペンサーさんをもってしても
GPで優勝を達成することは叶わなかった。

楕円という形がネックになったようで、
ピストンとシリンダーの密閉性が
問題になったようだ。

もっと時間があったら
優勝もしていたかもしれない。
それから現代の技術ならもしかして。。。

しかし「早く優勝できるマシンを!」という
スペンサーさんサイドからの圧力もあり、
2ストマシンが開発され、NR500は開発終了。

その2ストマシンは、
やはり他のメーカーとは違うコンセプトのもと
開発された。

他メーカーが
4気筒エンジンを採用しているのに対し、
ホンダは3気筒エンジンを採用したのだ。

で、
完成したのがNS500ですね。

パワフルで加速やトップスピードで勝る4気筒。
扱いやすさと旋回性に勝る3気筒。
といった図式。

結果は1983年全12戦中6勝を分け合い、
ホンダのスペンサーさんが
ヤマハのキング・ケニーさんを
わずか2ポイント差でチャンピオンに輝いた。

今も語り継がれる1983年の死闘だ。
GPファンは1983年という年に
特別な思いがある(はず)。

まぁ、ビデオでしか観てないけどね。

その後、
やはり3気筒ではパワー不足だ
という要望により4気筒エンジンを開発。

そこでも普通じゃないマシンを
ホンダは作ってしまうのです。

あの有名な
ガソリンタンクとエンジンが
逆になったレイアウト。

で、
完成したのがNSR500ですね。

オートバイは上部が軽いほうが
旋回性が優れていると云われていて、
レース後半で軽くなるガソリンタンクを
上にすることで旋回性を向上させた。

はずだったのに、
レース前半と後半で乗り味が変わってしまい、
ライダーには大不評。

スペンサーさんは
シーズン途中でNS500を引っ張り出す始末。
タイトルも逃す結果に。

翌年は通常の
ガソリンタンクを上にエンジンを下に
というレイアウトにする。

さらにスペンサーさんは
250㏄クラスと500㏄クラスの
ダブルタイトルを獲得。

しかしスペンサーさん、
2クラスのダブルエントリーしたことで
腱鞘炎を発症。
選手生命を縮めることになってしまった。

その後はホンダとヤマハで
タイトルを獲ったり獲らなかったり。

しかし、あの男がヤマハに所属する。
ウェイン・レイニーさんだ。

レイニーさんは1990年から1992年まで
3年連続タイトルを獲得。

そこでホンダは新たな試みとして、
1992年にビッグバンエンジンを採用。

エンジンの4気筒のうち
2気筒ずつ同時に爆発させる(たぶん)ことで
エンジンの出力を滑らかにした。

エンジン出力が滑らかになったことで、
扱いやすいマシンになったのです。

果たしてホンダのドゥーハンさんは、
開幕から4連勝を含む7戦中5勝を獲得。

史上最も早くタイトルを獲得するのでは
と云われるも8戦目で足を切断する寸前の
大怪我を負い、タイトルは逃す。

しかし、このエンジンは強力で、
ヤマハとスズキもこのエンジン仕様を
採用した。

その後のホンダはGPが4スト化した際、
5気筒エンジンを採用。
これが挑戦と言えるかは謎。

だんだんホンダは挑戦って感じは
しなくなった気がする。

レギュレーション上、
しづらくなってるのかもしれないけど。

ライドハイトデバイスとか、
エアロダイナミクスとか、
市販車にフィードバックできないとか
ナントカ云われてる昨今。

昔のホンダも、
市販車へのフィードバックなんて考えずに
いろいろやってたなぁなんて思ったりします。


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